2014年4月17日木曜日

輸出依存度の上昇要因

第二次大戦によって生産設備のほとんどを壊滅させてしまい、かつまた膨大な労働人口をかかえた往時の日本が、その経済活動のよりどころをまずは繊維産業のような労働集約的で資本節約的な最終財産業に求めたのは自然であった。加えて、日本の経済成長は、第二次大戦後長きにわたって「国際収支の天井」によってさえぎられた。

この国際収支不均衡を解くことは、きわめて重要な課題であった。鉄鋼、化学、金属といった素材産業の進展は、まさにこの課題に応えようとしたものであった。こうした基礎の上に、その後の経済成長の基幹産業たる機械工業分野が花開いた。

しかも日本は、資本財から最終財にいたる諸部門をフルセットとしてかかえうるだけの、人口一億の単一にして巨大な国内市場を有してきた。また日本は、長らく極東に存在する唯一の孤立した工業国家であり、相互に水平分業をなしうる工業国を、当時は周辺にもっていなかった。ECのような水平分業を促進する地域協力機構に属するという恩恵にも浴しえず、その自給的体質をますます強化していった。自給的体質は、日本が採用してきた一連の保護主義的政策によっても促進された。

この日本の自給的経済体質を、レオンチェフによって開発されたスカイラインマップ分析を通じてみておこう。計測方法はつぎのようなものである。一国の総生産は、その最終需要を満たすために、直接・間接に必要とされる財およびサービスの生産からなる。したがって、各産業の最終需要項目別に必要とされる生産量を、産業連関表を使って計測することからこの分析ははじまる。

国内需要と輸出の合計から輸入を控除した実際の国内生産の比率いつまり自給率が明示される。各産業の生産額の規模を加重して図示したものが、スカイラインマップである。国内生産を一〇〇%ラインとし、このラインから輸出依存度を上方に向かって計る。そしてこんどは、輸出の先端から下方に向かって輸入依存度を計る。アミ部分がこれを示す。残った白ぬき部分が実際の自給的国内生産部分である。