2014年10月17日金曜日

土地譲渡益に対する税金

保有する土地を取得価格以上で売却すると、譲渡益という儲けが生じる。土地神話の下、地価がたえず右肩上りに上昇を続けた期間には、この土地譲渡益が将来確実に保証されていた。この譲渡益こそが土地の資産価値を著しく高め、土地を投機対象にした元凶である。

土地売却による譲渡益は、株式譲渡益と同じように所得税、法人税によって課税される。したがって本来資産課税ではないが、土地譲渡益課税が土地の資産価値と密接に関連するので本章で取り扱うこととする。

戦後わが国の税制において、土地譲渡益に対する課税は場当たり的にいわば猫の目のように、ひんぱんに変更されてきた。地価対策として、土地供給の促進のために税制が緩和されたかと思うと、逆に仮需の抑制のために強化されるといった繰り返しであった。所期の目的を達成したかあるいは弊害が生じなかったかといえば、かなりの問題点が存在したといえよう。

土地譲渡益に対する税金は、個人のみならず法人も支払う。いま過去二五年間ほどを振り返り、所得税・法人税における土地譲渡益の取り扱いを見ると、次のような三点に特徴がしぼられてくる。

個人は一九六九年に、法人は1973年に従来の税制を根本的に改める分離課税方式を導入した。その際、土地の所有期間に応じて長期、短期の区別を設け、更にその区分基準を幾度か変更している。近年、短期から分離して超短期の区分まで創設した。伝統的に長期譲渡益を軽課、短期譲渡益を重課する考えが定着し、いわばアメとムチの組み合わせとなった。