2015年1月21日水曜日

経済摩擦から文化摩擦へ

日本の現状をみればたちどころにわかることではないか。家庭の主婦やOL、大学生までが東証日経平均株価を知り、その高低に一喜一憂するのが日常茶飯事である。つまり、カネがすべてである。ことにオイル・ショック時の全OPEC諸国があげた国際収支余剰以上の巨額な貿易収支を「平年度」において、しかも円高急騰時の下で平然と稼ぎ出すような国に対する国際的批判はたんにその国の貿易構造・生産構造だけに集中して行なわれるのではない。その社会、文化、人間の意識構造にまで波及することは当然である。

現在、次のような摩擦が日本を中心に表面化している。海外直接投資対象国群(米・欧・東南ア・中南米等)の各国においてじょじょに高まりつつあるといわれる日本企業の経営摩擦と労働摩擦、原料(原木とチップ)と製品(合板)の極端な輸入不均衡から資源の収奪と批判される木材摩擦とさらに同様なアルミ摩擦、日中摩擦と称される対中国貿易の不均衡、日米皮革交渉にみられる日本側の拙劣な対応、日米農産物をめぐる一連の交渉における利害の激突、国家安全条項まで引用された日米半導体摩擦、自動車対米自主規制枠で一応のケリはっいたが今後とも火を吹きそうな日米自動車問題、超LSI(超大規模集積回路)と第五世代コンピュータをめぐる日米ハイテク摩擦、鉄鋼・自動車・カラーTV・ボールペアリングにみられる集中豪雨型輸出と大量安売りによる相手国関係業界への抹殺的なぐりこみ、失業を生むと批判され、製品輸入の拡大と日本産業の構造改革を正式に要求する事態を招いた対EC輸出、香港やシンガポールにみられる日本製品広告規制要求、各地で増加しつつある日本ビジネスに対する脅迫・誘拐などである。

そして、さらにそれらは深みを増してくる。これらは徐々に市場秩序維持協定の締結を迫り、欧米に深まりつつあるパーセプションーギャップ(日本人の対外甘えの意識と真珠湾攻撃以来の日本人のアンフェア性を高く掲げる欧米人の認識の差)の溝を拡げ、そして次第に盛り上りつつあるジャパン・プロブレム意識をあおっている。

「叩けば叩くほど効く」という錯覚に陥った欧米側の日本産業への「日本たたき」が次第に定着し、日本産業構造の背景、ひいては続発する経済摩擦の日本側背景には、日本文化の特異性があるとして、それを攻撃する文化や人種摩擦論争まで誘発しているのが現況である。