2015年8月22日土曜日

問題の多い「便宜供与」

「便宜供与」という仕事は、優れて現代的な仕事である。かつてのように交通手段が未発達な時代であれば、本国からくる人間の数ぱ知れたものだった。しかし、交通手段の多様化、そしてその迅速化は、人間の国際的移動を日常的なものにするに至った。その影響が大使館に及ぶのもまた、不可避的だった。

外交交渉に際して、本国から大代表団が外国に移動することは、もぱやなんら珍しいことではない。代表団の規模が大規模になればなるほど、そしてその構成がハイーレペルになればなるほど、大使館としては、その応接に落度がないように心を砕かざるを得なくなる。

このような内容がある代表団なら、大使館としてもそれなりのヤル気が起こるというものだ。しかし、今日では実に多くの「どうでもいい」、あるいは「何をしにきたのかわからない」、さらには「こられては迷惑」としかいいようがない「便宜供与」が圧倒的に多い。

特に指摘する必要があるのは、国会議員の「海外視察」である。立法事項との関連で是非とも行なわなければならない視察といえるものがないわけではない。しかし、その類のものは圧倒的に稀な部類に属する。国会議員「先生」の海外視察は、そのほとんどが税金のムダ使いと断言して差し支えないものだ。そのことを端的に示すのは、選挙が近づけばこの種の視察が激減するという事実だろう。

私自身ぱ、オーストラリア、ソ連、中国という「清潔」な国に勤務したお蔭で、「外遊」公害から比較的免れた。しかし、聞くところによると、「ロンーパリ」と略称されるロンドン、パリでは、国会閉会中で選挙もない夏休み期間中には、「先生」たちの「外遊」が目白押しで、外交官たちは休む暇もないという。