2015年12月17日木曜日

トラブル発生後の処方箋とは

例えば、私が業のコンプライアンス(法令遵守)を推進する必要かおるという話をするにしても、たまに「結構な話ですね」というふうに聞いてくれる人はいるのですが、なかなか現実の問題としては動いてくれません。

これが欧米になりますと、しっかりとしたコンプライアンスをしなければ企業が大変な目にあい、下手をすれば倒産してしまうという危機感をもって取り組んでいます。

日本では、法令遵守を怠っていても、問題が起きてからしばらく我慢していれば何とかなるわけで、薬害エイズなどのような深刻な事件を起こしても、別にどの会社もっぶれたわけではなく、また誰か役員が責任を取らされてしまったが故に破産したという話もほとんど聞かれません。

あるいは、どこかの自動車会社が長きにわたってリコール隠しをしていたからといって、別にどうということはありません。もちろん、多少のお灸はすえられます。しかし、それだけのことです。しばらくして、私たちの記憶もかなり薄れてしまいました。

だとするなら、正直にリコールを明るみに出して売り上げを減らすなどというのは、バカげたことです。顧問弁護士をつとめる法律家が「正直にやるべきです」などとアドバイスしても、相手にされないのは当然だと言えましょうし、そもそも初めから、そんなアドバイスを期待して法律家に訊ねようなどとは誰も考えません。

儲けるだけ儲けて、トラブルが明るみに出てから、おもむろに対応すれば、会社としては済んでしまうのですから。