2012年5月1日火曜日

「歌舞伎座」の建て替え構想

歌舞伎の殿堂「歌舞伎座」(東京・銀座)の建て替えを検討していた松竹と歌舞伎座は26日、現在の外観を踏襲する新劇場のデザインや日本文化の発信拠点などを備える計画の概要を発表した。総事業費は約430億円。来年5月に着工、新劇場とオフィスビルを併設した建物の完成は13年春の予定という。

現歌舞伎座は1924年に建設されたが、45年の東京大空襲で甚大な被害を受けて閉場。その後、戦火をくぐった骨組みを元に修復されて51年に再開場した。現状保存も検討されたが、老朽化やバリアフリー対策などから建て替えに踏み切った。

この日の記者会見で、大谷信義・松竹会長は「劇場は和風の独立性が強い設計にする。100年先も歌舞伎座で歌舞伎を続けるには、建て替え時期は今しかないと判断した」と話した。

現劇場の一部は再利用するという。今回公表された外観イメージは、今年1月時点の派手さを抑えた予想図に比べ、現在の歌舞伎座の外観により近くなった。

地上4階、地下1階の新劇場を現劇場の跡地に新築。客席数は現在の1859席と同程度になる。劇場の背後には、銀座を横切る晴海通りから約35メートル離れて地上29階、地下4階で高さ約135メートルの高層オフィスビルも新築する。劇場周辺の緑化など地域貢献にも取り組む。

建物内には、「国際文化交流センター(仮称)」▽学習の場としての「歌舞伎アカデミー(同)」などもつくる。迫本淳一・松竹社長は「世界に向けた日本文化の発信拠点にしたい」と話している。