2012年6月12日火曜日

地域産業全体の底上げ

一方、生産者、農協、製粉業者、製麺業者、加工業者、そば店なども検討会を設置。その中で、地元食材にこだわったオリジナル商品の開発に取り組むことになり、鴨南蛮そばの試作販売を検討していた業者の話からヒントを得、全国で唯一、フォアグラを生産している同市の「ジャパンフォアグラ」のフランス鴨を使った鴨南蛮そばの商品化にこぎつけた。まさに日本一のフォアグラ・鴨肉と県内一のそば生産地のコラボレーションの完成だ。

今年度は商品の付加価値を高めるため、同社と連携し、無農薬・無化学肥料栽培に取り組む。「鴨の堆肥(たいひ)を利用することで循環型農業の確立を目指したい」と長内主幹。

さらに、東青産そばの知名度向上とブランド化を図るため、検討会からステップアップしてブランド推進協議会を立ち上げる。商標登録を目指し、四季に応じた特徴あるメニューの開発、藍染めを使ったのぼりなどを作製する。

現在、東青産そばは同市内で9店舗、 5.2トン使用しているが、使用店の拡大にも取り組む。消費者団体やNPO法人(特定非営利活動法人)とタイアップしてそば作業やそば打ち体験なども行う。長内主幹は「東青産そばに親しみ、応援団になってもらいたい。キーワードは農・商・工連携」と話す。

同市内で開かれた「あおもり海道そば」フォーラム。生産者を代表して同市の農事組合法人「羽白開発」の福士英雄理事は「そばの売り上げを担当に配当した結果、コメの1日1万円に対してそばは1時間1万 670円になった。そば単独では収益は厳しいが、品目を組み合わせることで所得向上につながる。あおもり海道そばを何からの形で盛り上げたい」。

そば販売業者「みちのくボヌール」の杉山完治社長は「生産者の工夫でこだわりの商品を開発し、ステップアップすることで外貨を得ることができる。まずは地元の人に知ってもらうことが大事」と言う。

「土地を有効活用して、ほとんど捨てられ、金になっていなかったそばを何とか地域の特産物にし、ひいては地域おこしにつなげたい。それが地域産業全体の底上げにつながるはず」と長内主幹は力説する。

来年12月の東北新幹線新青森駅開業に向け農・商・工連携強化で、あおもり海道そばのブランド化の可能性を探っていく動きが活発化している。